原題は『The Iron Lady』という。
力強く、素敵な作品だった。
ストーリーは、現在のマーガレット・サッチャーが、
政治家時代を回想するという構成で、現在と過去が入り乱れて展開する。
登り調子のときを描くシーンが楽しい。
マーガレット・サッチャーが、与党党首すなわち英国首相を目指すと決意して、
党首としてふさわしい威厳を身につけるべく、ファッションを変えたり、
声のトーンの訓練を受けたりなどを経て、見事首相の座を勝ち取るまでの道のりは
テンポもよくセリフも洒落てて、何度も見返したシーンのひとつ。
全編を通して、言葉がとても素敵。
心にしみるサッチャーの名言の数々も刺激的だ。
とくに心に残ったのは、サッチャーが
父がいつも言っていた言葉として口にする名言。
Watch your thoughts, for they become words.
Watch your words, for they become actions.
Watch your actions, for they become habits.
Watch your habits, for they become character.
Watch your character, for it becomes your destiny.
そして、この言葉たちに命を吹き込んでいたのが
メリル・ストリープ先輩のすごい演技。
最盛期のキレキレ具合は小気味よく、
老女となった姿も味わい深く。
映画公開時のプレミアに、中曽根康弘元首相がいらしたそうなんだけど、
サッチャーと同じ時代に日本国首相だった氏から「よく描かれている」と
評価され、でたらめでないサッチャー像だとお墨付きももらったようです。
http://ironlady.gaga.ne.jp/news/index.html#news120307_00
そのひとと時代をよく知る大人物に、自分が演じたそのひと像を
目の前で吟味されるって、もう胃が縮む思いじゃなかろうか。
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011年/105分)
★★★★☆
監督:フィリダ・ロイド
脚本:アビ・モーガン
http://ironlady.gaga.ne.jp/
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